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ダルビッシュ有も、上原浩治も......振り返れば「NOMO」がいる!

ダルビッシュ有も、上原浩治も......振り返れば「NOMO」がいる!

1995年、メジャー1年目の野茂英雄(ドジャース)はシーズン通算236個の三振を積み重ねた。これがこれまで日本人メジャー投手のシーズン最多奪三振記録だったが、2013年9月4日(現地時間)、ダルビッシュ有(レンジャーズ)によって18年ぶりに更新された。また、9月11日には上原浩治(レッドソックス)がレイズ戦で登板し、3人の打者を危なげなく料理。その結果、34人の打者を連続で凡退させたこととなり、野茂が2001年にマークした31打者連続凡退の記録を更新。さらに9月14日のレンジャーズ対アスレチックスの試合で、ダルビッシュが10個の三振を奪い、シーズン12度目の2ケタ奪三振を達成。野茂が1995年に残した2ケタ奪三振11試合の記録を破った。

 

 今シーズンのめざましい日本人投手の活躍で、野茂の記録が次々と破られている。野茂の足跡が消えていくことに一抹の寂しさを感じるが、同時に日本人投手のレベルの高さをあらためて証明することとなり、それはそれで大変喜ばしいことである。

 

 2001年4月11日、オークランドの球場からは大きなブーイングと「カワサキ!」「イスズ!」「ホンダ!」「コンニチワ!」などのヤジが飛んでいた。打席には、初の日本人メジャー野手としてマリナーズと契約したイチローが立っていた。

 

 当時、サンフランシスコで暮らす田中さん(女性)は、イチローの姿を嬉しそうに眺めながらも、こう心配そうに語った。

 

「村上雅則さんがジャイアンツで投げた時も応援に行きました。あの時は球場に行くのは日系人くらいで、今は若い日本人の方たちの熱狂ぶりがすごいですね。でも、野茂さんの時もですけど、日の丸の旗を振ったり、あまり周りを刺激しない方がいいと思いました。アメリカでの生活が長いと社会的なことが気になってきますからね」

 

 野茂のメジャー1年目、大きな日の丸を振る日本人の姿が多かったと記憶している。今、普通に日本人選手を応援している光景を見ると、あれから18年も経ったのだなと隔世の感がある。

 

 野茂が自らの力でメジャーのマウンドを勝ちとった18年前、投げるたびに「日本人メジャー記録」が生まれていった。ちなみに、メジャーの日本人初本塁打も野茂である。スポーツ紙の「日本人初」という記事を見るたび、「何でもかんでも日本人記録か......」と辟易(へきえき)したものだった。だが、そう思っていたことを今は反省している。日本人記録があるからこそ、ダルビッシュや上原の活躍によって当時を思い出すことができるし、あらためて野茂の偉大さに気付かされるからだ。

 

 そこで野茂が保持している日本人メジャー記録をいくつか紹介したい。

 

メジャー通算投球回   1976回1/3
メジャー通算勝利数   123勝
メジャー通算奪三振数  1918個
メジャー通算完封数   9回
メジャー通算完投数   16回
開幕投手          3回(00年、03年、04年)
シーズン最多完封     3回(95年)
ノーヒット・ノーラン     2回(96年、01年)
シーズン最高防御率   2.54(1995年)
1試合最多奪三振数   17個

 

 現役選手では、通算投球回数(1108回1/3)と勝利数(68)で黒田博樹(ヤンキース)がトップだが、現在38歳の黒田がこの先、野茂の記録に追いつくのは容易なことではない。並ぶ可能性があるのは、開幕投手か。ここまで野茂以外の日本人が開幕投手を務めたのは2008年の松坂大輔(当時レッドソックス)と2009年の黒田(当時ドジャース)。特に黒田は、現在ヤンキースのエースと呼ぶにふさわしい活躍をしており、来年以降、開幕投手を務める可能性は十分にある。

 

 また、これまで50人近い日本人投手が海を渡ったが、ノーヒット・ノーランを達成したのは野茂ただひとり。2008年、当時ドジャースの黒田がブレーブス戦で7回までパーフェクト・ピッチングを見せていたが、8回に安打を打たれ完全試合ならず。そして2013年、ダルビッシュが今季初登板となったアストロズ戦で9回二死までひとりの走者も許さなかったが、最後の打者に安打を許し、快挙は夢と消えた。

 

 そして野茂と言えば、奪三振だ。メジャー史上3人目となるデビューから3年連続200奪三振を記録し、奪三振王のタイトルに輝くこと2回。メジャー通算で1918個の三振を奪った。

 

 この野茂の代名詞でもある「三振」の記録を塗り替えていきそうなのがダルビッシュだ。すでにデビューから2年連続で200奪三振を記録しており、まずは来シーズン、タイ記録に挑む。また、ダルビッシュの1試合最多奪三振は15個が最高だが、これは8回を投げての数字。もし完投数が増えれば、記録更新の可能性は高くなる。ちなみに、野茂が500奪三振を記録したのは444回2/3(当時メジャー最速)で、現在ダルビッシュは385回で477の三振を奪っている。今の調子を維持すれば、記録更新はほぼ間違いないだろう。

 

 シーズン236奪三振の野茂の記録を更新したダルビッシュは、試合後にこう語った。

 

「(数字的には)超えましたけど、まだ(野茂と)比べられるような選手ではありません。いずれ比べられるような選手になれたらいいなと思います」

 

 野茂のメジャー通算奪三振記録にダルビッシュが追いつくには、あと1500近い三振が必要で、年間200個の三振を奪ったとしても、あと7年以上かかる。ただ、その記録が達成されるということは、メジャーでローテーション投手を長く守り続けた証明であり、その時に野茂と比較される投手になるということなのだろう。

 

 振り返れば野茂がいる――18年前に海を渡ったパイオニアは、今でも日本人メジャー最高の投手である。ダルビッシュや上原や黒田や岩隈久志という現役メジャーが今年活躍してくれたおかげで、野茂の偉大な足跡が少しだけ蘇った。将来、野茂を超える投手が現れた時、彼は自らの足跡を振り返り、何を思うのだろうか。

 

島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 

野茂さんのお蔭なんだよな。

 

アメリカへ向かう空港の写真が小さく出ていたのをはっきりと思い出す。

 

みんな・・・ばかじゃねん?と言っていた。

 

さすが、野茂さんなんだ!


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